私が建築を考える上で一番大切にしていることです。
ここで言う「環境」とは、昨今話題になる「地球環境」「エコロジー」の類ではなく、建物周りの「周辺環境」「生活環境」のことです。
建物を建てる際には、車の交通量・日当たり・隣の建物の様子・近くのお店や学校等の環境をよく見定めて土地を選びます。
一方で建物は環境に影響を及ぼします。住宅地でマンションの建設反対運動がおきるのもその為で、規模の差こそあれ一戸の住宅も周囲の環境に影響を与え環境の一部になります。だから建物を建てる際に、その土地での建物のあり方を考えるのはとても大切なことです。
「田んぼの一軒家」「傾斜地に建つ家」「住宅街の一戸建て」「商業地の店舗併用住宅」どんな場所にもそれに相応しいたたずまいの建物があり、建物を建てる際に土地から教わることは多くあります。
田んぼの真中の広々とした敷地にわざわざ2階建ての家を造る必要もありません。傾斜地に建つ家では、土地を平らにするよりも土地の高低差を上手に利用して、基礎と一体になった地下や半地下を作るほうが合理的です。閑静な住宅街では、隣の家の緑も景色になります。商業地のにぎやかな場所で商売をしながら住むには、色々な工夫が必要です。
建築主の建物・家に対する希望、ライフスタイルは勿論大切です。
しかし、土地選びでは自分のライフスタイルに一番相応しい環境を考え、ライフスタイルが土地選びに反映されています。
自然に囲まれたライフスタイルを望む方は、緑の環境豊かな土地を選ぶでしょうし、便利な街中での生活をしたい方は、多少狭くても街中に土地を求めます。傾斜地の土地を選んだ方は、多少の工事の困難を克服しても、坂の上から見下ろす抜群の景色を大切にしたいに違いありません。「どこに住まうか?」…ここにライフスタイルが集約されています。
だから、その土地の環境を尊重し、土地とそれを取巻く環境に対して素直であるべきだと思います。