施主のライフスタイルに即して、「畳座のリビング・茶の間(Chanoma)」を中心に、開放的で連続性のある住宅を計画しました。
西には川を挟んで北アルプスの眺望が広がります。茶の間から広いウッドデッキを介して建物が西に開くように計画しました。畳に腰を掛けウッドデッキに脚を下ろすと、古い農家の縁側にいるような感じを覚えます。
1階の構成は、住宅の原型である、昔の小農家の構成をプロトタイプとしています。台所・作業場・納戸が土間に位置して、「デイ」と呼ばれる一段上がった部分を茶ノ間になぞらえました。もちろん茶ノ間・台所が中心の回遊動線です。
2階も間仕切りの少ない日本家屋の構成を意識しました。南側にふすまで仕切られる居住スペースを設けて、廊下を挟んだ北側には収納力のある納戸をまとめました。子供の遊び場スペース脇はすのこ状の床にして、1階と声や気配が通うように考えています。
敷地は、西に向かって傾斜し、建物の途中に1.6Mの段差があります。道路レベルの中2階は、玄関と水廻り、母親の寝室を計画しています。
建物の構成がプリミティブなので、建物の構造も明解になりました。一間あるいは半間の桁行きに柱・梁を配して、構造集成材のボルト工法を用い柱・梁をインテリアに表現しました。
仕上げも、白い石膏ボードの天井・シナ合板素地の壁に、床は県産カラマツオイル拭きで簡素に仕上げました。階段脇に多くの蔵書を抱える本棚を造りつけているのも特徴のひとつです。
最後に、ちょっと悪ノリして、すのこ床の小さな吹き抜けに1階から2階の天井まで届く丸太を御神木にしてみました。子供と父親の木登りのおもちゃだそうです。