松本市街地の間口9M・奥行き17Mの約45坪の敷地に建つ40坪の住宅です。
恵まれた敷地条件ではないので、20坪+20坪の総2階建てにして、敷地を有効利用できるように計画しました。
玄関ポーチ・リビングダイニングに続くテラス・物干し・自転車置き場等の半屋外空間は、生活を考えた家づくりをする上でとても大切な部分です。狭い敷地とは言えども、屋外・屋内を繋ぐ半屋外 空間を生み出す様に配置計画を工夫しました。
2間×5間のボリューム2つを1間ずらして配置し、ズレを利用して建物に囲まれた部分を玄関ポーチであったり、テラスであったり、屋内と屋外の接点となる半屋外空間として計画しています。
プランニング上の特徴は、ユーティリティーや浴室を2階に計画している点です。防水の信頼性が 高いユニットバスを利用して、水廻りを階上に計画することも可能になりました。ユーティリティーを2階に計画することで、洗濯動線が2階の物干しテラスに直結します。洗濯物を取り込んだ後は、寝室や子供部屋に衣類を収納します。洗濯・衣類の動線を2階にコンパクトにまとめることが出来ました。1階のリビング・ダイニングや、それに続くウッドデッキには、洗濯物があふれ出ないためスマートに生活することが出来ます。
1階にユーティリティーや浴室が無いため、1階のプランに余裕が生まれ、客間を兼ねた趣味のオーディオルームと、キッチンに続く大きな納戸を確保できました。
箱階段に組み込んだ引き出し収納
物干し
屋根はガラスで日光が入り洗濯物がよく乾きます。下のウッドデッキが暗くないよう、床はグレーチングで光を通します
こども部屋は階段を挟んで2室。階段室のふすまを開けると空間がつながる壁の仕上げは、無塗装のシナ合板。クロスや壁紙で模様替えできます
シアタールームスクリーン側:
壁や天井を黒で仕上げ、プロジェクターの乱反射がないよう工夫している
建物の外観は、隣家が迫る建物の両脇は、サイディングによりローコストに仕上げ、道路に面した 北側と南側を松本の蔵づくりの町並みを意識して白漆喰で仕上げました。
室内は、無垢のフローリングに珪藻土の仕上げや、子供部屋では汚しても後の補修が簡単なシナ合板の素地仕上げにするなど、部屋毎に工夫しています。
構造も建物がコンパクトでシンプルになるように工夫しています。建物全体を2間×1間のきれいなグリッドで計画しました。グリットを活かして、柱・梁をボルト締めの金具により緊結する工法を用いました。また、インテリアでは整ったグリットの様子がわかるように柱・梁を表現しています。
あわせて耐震性を増す為に、2階の床と屋根には28mmの構造用合板で建物の水平剛性を高めています。街中の狭小敷地では、工事計画の考え方も、建築計画の重要なファクターになります。敷地が狭い中での工事でしたが、合理的な工法により、スムーズに建設できました。