あづみ野@HUB

犬のプレイルームから「犬目線」で交流サロンを見る

保護犬猫の譲渡、飼い方相談、グルーミング、診察などを通して、犬猫と飼主が交流する施設を、SC「エルサあづみ野」の一角にデザイン・設計しました。
オーナーの「奥原動物病院」の院長は、松本市で、劣悪な犬の繁殖施設の問題にも取り組んだ獣医師です。(一社)松本ドックバディも運営して、保護犬の飼い主探しなどの活動にも携わっています。
地方公共団体で、この様な取り組みの施設整備が遅々として進まない中で、「民間で保護犬・保護猫の譲渡施設を、公共団体に先んじて整備したい。」というのが、今回の計画でした。

SC内のペットショップをイメージしたのですが、院長は更に先を見ていました。

  • ペットショップは人間目線で犬猫の販売施設だが、この施設は、犬猫目線で、犬猫と新しい飼い主のマッチングのスペースをデザインして欲しい。
  • 犬猫が休む場所は、人の視線を避けて、犬猫が落ち着ける場所を確保したい。
  • 保護犬、保護猫の一頭一頭の個性や価値をきちんと伝えられるように、犬猫の価値に相応しい、公共施設の手本になる様な、お洒落な空間をイメージしたい。
  • 犬猫の衛生管理の為のグルーミング(トリミング)を併設して収益を確保する事で、施設運営を維持していきたい。
  • 動物愛護に関わる、色々な団体の方々と交流したり、犬猫の飼い方を学べるサロン空間が欲しい。

施設のネーミング「あづみ野<足跡>HUB」には、動物と動物に関わる人達、全てのHUBになりたいという思いが込められています。

交流サロンと犬プレイルーム

飼い方講習会や関連団体のミーティングの、円形テーブルはHUBをイメージ。
椅子の高さは、高齢者・子供・犬目線を意識して、35cmの高さをオーダー。
家具デザイン・制作は、高級ホテルの内装・家具なども手掛ける「atelier m4 Inc.」

SC駐車場側エントランスと交流サロン

窓際の格子棚には、店内側、駐車場側双方に、色々な情報が発信されます。
壁面と天井は、松本・安曇野の松枯れ材を使用した無垢の板。ところどころに黒いカビが混ざりますが「ブルースティン」と称して、デザインに表現しています。

犬プレイルームの格子も全体のインテリアに合わせています。

床は、犬が滑りにくいラフ仕上げ(のこぎり挽仕上げ)の県産からまつ板。
壁際は犬のマーキングでも清掃が簡単なディテールを施しています。

駐車場側エントランス。色々な関連団体があつまってHUBを形成します。
SCエルサ、店内側壁面は、犬猫譲渡その他の掲示板。

ガラスの欄間からは、プレイルームの猫が店内を見下ろします。丸窓からは、プレイルームから猫が店内を覗き見。

丸窓からは、キャットツリーに登って、人間を覗き見できます。

駐車場側には、猫棚。駐車場の人間の様子を、猫が棚の上から見下ろします。

駐車場側のガラス面

犬プレイルームを覗き見できます。格子棚では駐車場側にも情報発信。

建物用途:犬猫譲渡相談施設/グルーミング(トリミング)/動物診療所  
敷地面積:ショッピングセンター「あづみ野エルサ」内 
建築面積:ショッピングセンター「あづみ野エルサ」内 
述床面積:160㎡ (施設賃貸部分)

設計期間:2021/10-22021/12
工事期間:2022/1-22022/4
施工:(株)布山工務店